オーステッド、マイクロソフトと覚書を締結

オーステッド、マイクロソフト、およびAker Carbon Capture※1(以下ACC)は、デンマークのバイオマス火力発電所での炭素回収および貯留プロジェクトの開発支援を模索することに合意する覚書(MoU)に署名しました。

炭素の回収と貯蔵は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、摂氏1.5度以内に制限するというパリ協定の長期目標を達成するための重要な手段として広く受け入れられています。また、バイオマスは動植物から生まれた、化石燃料以外の再利用可能な有機性の資源を指します。太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素から生物が生成する有機物であるため、再生可能な資源です。バイオマスの燃焼時に発生する二酸化炭素は、もとは植物等が大気中から吸収したものなので、新たに二酸化炭素を増加させないというカーボンニュートラルな特性を有しています。さらに、バイオマスの燃焼による熱利用と発電を通じて排出される炭素を回収し、地下に貯蔵することで、炭素を削減できるだけでなく、大気から除去することもできます。

オーステッドはマイクロソフトやACCと協力し、バイオマス火力発電所から排出される炭素を回収・貯蔵することにより、科学技術、法規制、商業の各方面における課題に取り組み、商業的・社会的にも大きな影響を与える役割を努めます。 覚書の締結において、オーステッドはこれら2社とともに、以下に合意しています。

  • デンマークにあるオーステッドのバイオマス発電所の1つで、マイクロソフトがパートナー企業やノルウェー政府と展開するNorthern Lights※2プロジェクトを活用し、炭素排出をマイナスにするプロジェクトの開発を共同で探索する。
  • ACCの健康・安全・環境(HSE)に配慮した回収技術と、マイクロソフトのデジタル専門知識を生物起源の炭素回収プロジェクトに統合するための技術協力について考察する
  • オーステッド、マイクロソフト、ACCが共同で生物起源の炭素回収プロジェクトの開発を加速させる方法を探る。 
  • 欧州諸国において、カーボンネガティブの枠組みを加速させるための政策の推奨方法を研究・確立する。

 

本研究におけるオーステッドとほか2社の究極のビジョンは、これら4つの分野での活動を成功させることにより、炭素排出マイナスへの流れを促進し、実質的に炭素排出をマイナスにするために商業的および技術的な仕組みを実際の運用までに到達させることです。現在、オーステッドには6つのバイオマス燃焼ユニットがあり、デンマークの地域暖房の約4分の1に熱を供給しています。オーステッドの火力発電所で燃料として使用されるバイオマスは、持続可能な方法で管理された生産林※3から作りだされたものであり、製材所から出るおがくずや刈り込みで生じた剪定かす、曲がった木などの余剰木材です。これら木材は品質が低すぎるため、建設や家具には使用できません。余剰木材は、そのまま腐敗、あるいは森で燃やされる以外に、ガスや石炭の代わりにエネルギーとして再利用することもできます。オーステッドが調達する余剰木材はすべて成長林から得られます。そのため、余剰木材がエネルギーに変換された場合、排出される炭素は、数年以内に森林によって再度吸収されます。

オーステッドは、2040年頃までには再生可能エネルギーに基づく技術が、地域暖房で利用されているバイオエネルギー(バイオマスを利用したエネルギー)の大部分に取って代わると予測しています。その一方で、多くのバイオマス燃焼ユニットでの炭素回収もエネルギー転換において引き続き重要な役割を果たすと予想しています。「炭素回収は環境や生態系に優しい社会への移行のために重要な役割を担うことになり、オーステッドのバイオマス火力発電所の一部で炭素を回収したら、排出量マイナスを達成するために地下に貯蔵するか、Power-to-X※4施設でのグリーン燃料の生産のために炭素を使用することもできると考えます。そのため現在は、施設における炭素回収の法規制、技術、および経済的可能性を探究しています」と、オーステッドの上級副社長であるオレ・トムセンは述べています。

デンマークと同様に、日本政府も2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指しています。また、CCSの技術開発にも取り組んでおり、国内で実証実験が展開されています。

オーステッド・ジャパン社長の笠松純は「カーボンニュートラルは、どれか一つの再生エネルギーの利用に依存するのでなく、多様な再生エネルギーやCCS、埋めた炭素を有効活用するCCUS※5など、様々な手法を活用することで早く実現できます。オーステッドは洋上風力だけでなく、CCSなど多様な分野で日本社会に貢献して行きたいと考えています」と述べています。

マイクロソフトは、炭素排出量の削減を推進するための複数のイニシアチブに世界規模で参加しています。マイクロソフトは、2012年から世界各国でカーボンニュートラルを達成しており、2030年までにカーボンネガティブになることを約束しています。同社は、持続的なビジネス慣行とクラウドを活用したテクノロジーを通じて、世界中において、持続可能な発展と炭素排出の少ないビジネスを実践することを目指しています。マイクロソフトのデンマーク・アイスランドのゼネラルマネージャーであるナナ・ビューレは、「業界を超えたパートナーシップとデジタルイノベーションは、気候変動との闘いにおいて重要です。2030年までに二酸化炭素排出量を70%削減するというデンマークの目標を達成する計画は、大規模な炭素の回収と貯留の手法も活用して実現しようとしており、これをオーステッドやACCとともにサポートできることを嬉しく思います」と話しています。

また、ACCの最高経営責任者(CEO)であるバルボーグ・ルンデガードは、「ACCは、10年以上にわたって炭素回収技術を開発し、プロジェクトを展開してきました。今、オーステッドやマイクロソフトとのリレーションによって、これまでにない、強い推進力をもつ生体CCSプロジェクトへの可能性が開けました。」と述べています。

オーステッドはバイオマス以外にも、様々な経緯で発生した炭素を削減するため、今後も多様な取り組みを展開して行きます。

※注1 Aker Carbon Capture(ACC):炭素回収のリーディングカンパニー。
※注2 Northern Lights:マイクロソフトと、ノルウェー政府、エネルギー会社であるEquinor、Shell、Totalが共同で推進している、欧州全体で炭素回収・貯留(CCS)を標準化および拡張する取り組み。
※注3 生産林:持続的に木材生産を行うための森林。
※注4 Power-to-X(テクノロジー):再生可能エネルギーで発電した電力を使って水を電気分解し、取り出した水素に二酸化炭素や窒素などのガスを投入することによってさらに加工し、燃料などを生成する技術。
※注5 CCUS:” Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage”の略。分離・貯留した二酸化炭素を活用することを指す。

 
オーステッドメディアリレーション担当
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